手外科

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手外科・手外科専門医とは

手はドアの開け閉め、リモコンの操作などといった日常の動作から、字を書く、絵を描く、スポーツをする、音楽を演奏するといった文化活動まで、実に様々な働きをしている部分の一つです。
手のきめ細やかな動作を可能にするために、骨、関節、筋肉、腱などのたくさんのパーツが絶妙なバランスを取りながら連動して動くことが必要です。
手外科(てげか)とは、聞き慣れない方も多いかと思いますが、手から肘までの様々なケガや病気の治療を行う専門的な診療科です。
その診断や治療には、外来診療から手術、リハビリテーションまで含めた、より一体的で専門的な技術が要求されることになります。手外科専門医は、整形外科や形成外科の専門医が手外科の専門的訓練を経て取得する資格です。

主な手外科の疾患について

手外科の対象とする主な疾患には、手根管症候群 、ドケルバン病やばね指(弾撥指)などの腱鞘炎、へバーデン結節、ガングリオン、マレット変形、テニス肘や肘部管症候群などがあります。

手根管症候群とは?

手根管症候群とは、手首にある神経の通り道(手根管)で正中神経が圧迫されたり締め付けられたりして、痛みやしびれが起こり、麻痺に至ることもある疾患です。
手をよく使うマッサージ師やエステシャンといった職業の人、スポーツ選手などによくみられるほか、一般的には中高年の女性や妊娠中の人に多いのが特徴です。
治療は薬物療法と安静による保存的療法を中心に行います。薬物療法では、消炎鎮痛薬の内服や湿布・塗布、末梢神経を整えるビタミンB12の内服、手根管内への注射療法などがあります。
進行してくると、ものをつまむなどの動作に障害が起こることがあり、症状の大きさによっては、手術を検討することもあります。

腱鞘炎とは?

手や指は、骨と筋肉をつないでいる腱が中心となって動く仕組みになっています。腱は部分的に腱鞘(けんしょう)と呼ばれる潤滑性のあるトンネルのようなものの中を通っており、腱鞘があることによって手や指を動かした際に腱が浮き上がらないようになっています。
この腱鞘が何らかの理由で炎症を起こしてしまったものが腱鞘炎で、手首や手指などに痛みを感じます。腱鞘炎には原因や部位によって様々な種類があります。
主なものとしては、ドケルバン病、ばね指などがあります。

ドケルバン病とは?

ドケルバン病は親指のつけ根のあたりの手首に強い痛みがあり、腫れも生じる疾患です。
親指を動かすための腱が通る腱鞘に炎症が起きることが原因です。妊娠出産期の女性や更年期以降の女性、スポーツや仕事などで指を酷使することの多い方などによく見られます。
治療は、薬物療法として湿布や軟膏などの消炎鎮痛剤を使用するほか、患部へのステロイド注射なども有効です。
保存的療法によって改善が見られなかったり、再発を繰り返したりするようなケースでは、腱鞘を切開する手術を検討します。

ばね指(弾撥指)とは?

ばね指は、指の曲げ伸ばしをするための腱が腱鞘にひっかかってしまい、指が曲がったままになってしまう疾患で、しばしば痛みを感じ、腫れたり熱をもったりします。妊娠出産期や更年期以降の女性、スポーツや仕事などで指を酷使することの多い方などによく見られます。
また、お子さんの手の親指が同様に曲がったまま伸びなくなることもあります。これは強剛母指と呼ばれるもので、腱そのものが太くなってしまって同様の症状が起こるものです。
治療は、湿布や軟膏などの消炎鎮痛剤の使用、患部へのステロイド注射、超音波をはじめとしたリハビリテーションがあります。しかし、こうした治療を行い症状が改善しない場合や何度も再発を繰り返りかえす場合には、腱鞘を切開する手術を検討します。

へバーデン結節とは?

手指の第一関節(専門的にはDIP関節といい、指先から数えて1番目になります)が変形して曲がって固まってしまう変形性関節症の一種で、この病気を初めて報告したイギリス人医師の名前をとってヘバーデン結節と呼ばれています。
症状はすべての指にあらわれる場合も、どれかの指だけに限定される場合もあり、曲がり方も様々です。また、指の背側(手の甲側)に水ぶくれのような透明のふくらみ(粘液嚢腫)があらわれることもあります。
40代以降の女性に多くみられる傾向があります。
治療としては、投薬や患部を固定具やテーピングなどで固定し安静にするといった保存的療法を試みます。指の曲がりがひどくなり日常生活に支障が起こっているケースや薬物療法や固定・安静などで効果が得られない場合には、手術を検討します。

ガングリオンとは?

手首や指などの関節の近くや腱鞘のある場所にぽっこりとできる腫瘤(しゅりゅう)がガングリオンです。ガングリオンは良性の疾患です。中にはゼリー状の物質が詰まっていて、腫瘍ではありません。
原因は不明ですが、手関節の関節包(関節を包んで保護している袋)や腱鞘から発生していることは判明しています。
お子さんから高齢者まで幅広くみられますが、女性に多いのが特徴です。
ガングリオンは基本的に良性であるため、痛みや手の動きに支障がない限りは放置しても大丈夫です。ただし、大きくなったり痛みがひどくなったりして、様々な機能に支障が起こる場合には、注射器で腫瘤の内容物を吸い出す治療を試みます。また、再発を繰り返すようであれば、患部を切開して腫瘤を切除する手術を検討しますが、手術によっても完治せず、再発するケースもあります。

マレット変形(槌指=つちゆび)とは?

突き指などのケガによって指の第一関節であるDIP関節が曲がったまま伸ばせなくなってしまった状態になるのがマレット変形です。指を伸ばす腱が断裂したものを腱性マレット指、DIP関節内の骨折を伴うものを骨性マレット指と呼びます。
マレットとは英語で木槌のことを意味する言葉で、曲がった指の形状が槌のように見えることに由来しています。
治療は、腱性マレット指の場合は、固定具やテーピングなどによる指の固定と安静による保存療法となります。一方、骨性マレット指の場合は基本的に手術を行うことになります。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎=じょうわんこつがいそくじょうかえん)とは?

洗濯ものを絞るような動作をしたときに、肘の外側から前腕部にかけて痛む症状があるのはテニス肘かもしれません。
テニスや卓球、バドミントンなどラケットを使うスポーツをしている人によく見られることからテニス肘といいますが、スポーツをする人だけではなく、日常生活でも起こります。
肘関節の外側にある外側上顆という部分は手首や指を伸ばす筋肉の起始部となっており、外側上顆の炎症がこの筋肉を刺激して痛みが発症します。
治療としては、ストレッチなどを行いながら、スポーツや原因となった手作業などを控えます。また、湿布や軟膏の処置、患部へのステロイド注射など薬物療法を行うこともあります。
こうした保存的療法で改善しない場合は手術を検討することになります。

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)とは?

肘の内側には尺骨神経(しゃっこつしんけい)とよばれる手の小指や薬指の動作に関連する神経が通っている肘部管とよばれる部分があります。肘部管症候群では、ここが何らかの理由で障害を受けることで、小指や薬指が痛んだりしびれたりする感覚障害があらわれ、だんだんと麻痺してきます。進行すると手の筋肉が痩せて握力が弱まったり、小指や薬指に変形が起こったりします。
治療は、症状が軽い場合には神経に障害を起こすきっかけとなっているスポーツや作業などを一時的に休止し、肘を安静にする保存療法を行います。痛みや腫れがある場合は、同時に消炎鎮痛剤やビタミン剤などを内服し、症状を抑えていきます。しかし、悪化してしまった場合や保存的療法で効果が得られない場合は、手術を検討します。肘部にガングリオンができてしまっているケースや靱帯が神経を圧迫しているケースなどでは手術療法を勧めることがあります。

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